村と人びとの自立を目指して
20年以上に及ぶ内戦が終わり、復興への歩みを開始したカンボジアの中で、
経済発展から取り残された地域もありました。
IVYは貧しい農村部に着目し、女性同士の相互扶助や農業技術の向上支援を1993年からスタート。
農産物の共同出荷を通じた生計向上など、
貧困削減のための様々なプロジェクトを行ってきました。
村の女性たちへの支援
貧しい農村部の女性たちに焦点をあて、相互扶助グループの形成、農業技術支援、
共同出荷組合の設立・運営等、様々な貧困削減プロジェクトを実施しました。
支援の背景
1999年当時、事業地のスバイリエン州は「貧しいカンボジアの中でも特に貧しい」と言われており、想像以上に厳しい貧困の現実がありました。村には十分に稼げる手段がなくほとんどの男性が都市部へ出稼ぎにいき、女性と老人と子どもしか村に残っていないという状況でした。そこで、「村に残っている女性たちを新しいリーダーに!」と貧困削減プロジェクトを開始しました。
女性による農村開発支援
村の女性たちを集め、村の問題やその解決方法を話し合ってもらい、女性組合や相互扶助グループを結成することから始めました。次に、彼女たちで考えた貧困削減のための様々なプログラム(困ったときに低利で貸してもらえるグループ貯蓄や米銀行等)を実施できるように支援を行いました。繋がりができたことで、野菜栽培では、仲間と切磋琢磨しながら一緒に取り組む姿がみられました。たった1つの村から始まった「女性による農村開発」は、14村まで広がりました。
生産者組合の設立と持続的な経営体制支援
女性組合で野菜栽培が定着し、共同出荷・販売を開始。無農薬・無化学肥料で栽培された野菜は、地元での信頼を獲得し、市場に売り場を確保できるようになりました。
2008年大型リゾートホテルからの野菜の大口注文をきっかけに、「スバイリエン州生産者協会」を結成、2012年には「スバイリエン州農産物出荷組合(SAC)」に改名し、60村300人の組合員から成る農協法人を設立しました。設立後は、持続的な経営体制の確立にむけた支援を実施し、2016年にはカンボジア初の「野菜出荷センター」が完成、組合の売上は1500万円を達成しました。
小規模農家への支援
プレアビヒア州の小規模農家が農業で生計を立てていけるように、
有機認証の取得、出荷量の増加、市場の開拓等の支援を行いました。
支援の背景
カンボジアでも最も貧しい州の一つ、プレアビヒア州は、タイ、ラオスと国境を接しており、タイとの国境紛争で開発から取り残された地域でした。
自然に恵まれ、「世界のベスト米」に選ばれるほどおいしい米が作られながら、良い市場との出会いがなく安い値段で取り引きされ、農民の多くはタイのさとうきび工場等に出稼ぎに出ていました。そこで、IVYは小規模農家が農業で生計を立てていけるように支援を開始しました。
有機米・有機カシューナッツの契約栽培による小規模農家への支援
プレアビヒア州農協連合では、8農協が「国際有機認証」を取得しEUへの有機米輸出を開始していましたが、支援を通じて、新たに認証を取得する農協の増加、全体の出荷量の増加を図りました。2年の支援の結果、農協数は26に増加、総売り上げは3億4000万円を達成し、小規模農家に収入をもたらすことができました。
さらに2018年からは小規模農家の生計安定のために有機米に加えて有機カシューナッツ栽培を奨励し、有機米と同じく国際認証の取得と契約販売を目指しました。12農協が「国際有機認証」を取得し、2022年には約100トンの出荷を達成しました。
カンボジアでの活動の記録
報告書
農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援(3年次)
(2021.2.12~2022.2.11)
農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援(2年次)
(2019.11.29~2020.11.28)
農協を通した有機カシューナッツの契約栽培による小農家支援(1年次)
(2018.10.4~2019.10.3)
2州における農業協同組合の有機農産物販売強化を通じた貧困削減事業 フェーズⅡ
(2017.3.10~2018.3.9)
2州における農業協同組合の有機農産物販売強化を通じた貧困削減事業 フェーズI
(2016.3.10~2017.3.9)
スバイリエン州農産物組合(SAC)の持続的な経営体制の確立を通じた農村における貧困削減事業フェーズⅢ
(2015.3.10~2016.3.9)
スバイリエン州農産物組合(SAC)の持続的な経営体制の確立を通じた農村における貧困削減事業フェーズII
(2014.3.7~2015.3.6)
スバイリエン州農産物組合(SAC)の持続的な経営体制の確立を通じた農村における貧困削減事業
(2013.2.19~2014.2.18)
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