イラク国内避難民への越冬支援を行っています 11/1-1/31
「イスラム国」を名乗る武力勢力によって、平穏な日々が一瞬で壊されてしまった人々、子どもたち。2014年11月現在、その数は200万人以上となって、イラク国内の別の地域に避難しています。IVYの活動拠点であるクルド人自治区にも現在75万人もの人々が初めての冬を迎えようとしています。そこでIVYでは、JPFの一員として、日本の団体としてはピース・ウィンズ・ジャパンに続き2番目のNGOとして、11月1日から越冬支援を開始しています。
【事業名】 イラク国 クルド人自治区のイラク国内避難民に対する越冬支援
【事業期間】 2014年11月1日 ~ 2015年1月31日 (92日間)
【予算】 25,871,375円(うちJPF助成額20,871,375円、寄付募集額 5,000,000円)
【事業概要】
シリアやイラク西部で勢力を広げていたイスラム国(ISIS)が6月にイラク北部のモスルを占領しました。その後もイスラム国は拡大を続け、7月下旬にはイラク北部でキリスト教徒やヤジディ教徒等の宗教的少数派への弾圧を激化させ、8月初旬にはクルド人自治区の中心都市アルビルの南40キロまで迫る危機的状況に陥りました。
イラクの国内避難民は200万人を超え、クルド人自治区には一時85万人もの人が逃げ込みましたが、今も帰還の目処は立っていません。
人々は真夏に逃げてきたので越冬のための準備が整っていません。IVYの拠点があるアルビル県の場合、イスラム教徒約1.5万人は難民キャンプに、また少数派の人々6万人が教会、学校、空き建造物等に宗派ごとに暮らしておられます。しかし、キャンプもキャンプ外の難民も、越冬物資が圧倒的に不足しており、クルドの本格的な冬が到来すれば深刻な人道危機に陥る可能性があります。
そこでIVYではアルビル市周辺の1200世帯及びドホーク県のヤジディ教徒143世帯の避難所を対象に越冬用品を配布することにより厳冬期の生活環境の改善を支援することにしました。
【配布予定の越冬用品】
・ボイラー200台と設置費用(二次避難所の温水シャワー用)
・石油ストーブと灯油80L 550セット
・電気ストーブ 650台
*電気ストーブ配布予定の地域は、側に公共の施設がある・発電力の大きい発電機が建物に備わっている等、冬季中にも安定した電気の供給が無料で行われる予定です。灯油は、今年度はクルド自治政府からの灯油の配給が紛争の影響で昨年に比べて減少する見込みのため、石油ストーブを配布した場合の継続的な灯油配布は欠かせません。
・毛布 2700枚
・冬物衣料 → 協力:株式会社 ユニクロ、株式会社 モンベル
【対象地における被災者の状況】
現在イラク国クルド人自治区内に避難している国内避難民の数は約75万人と発表され、その10%の7.5万人がアルビル県に逃げてきています。イラクでも少数派宗教のキリスト教徒、ムスリムカーカイーエ等6万人、1万世帯は、キリスト教教会の支援を受けて学校や教会の敷地、市内の建設途中の建物内などを避難所として利用し、集団生活を送っています。
しかし、難民の疲労が募ってきていること、また教会や学校も礼拝や授業等の通常業務があるため、いつまでも避難所運営を続けるわけにもいかず、政府や民間の支援団体が家賃や光熱費を支払って郊外の1軒家やマンション等に少しずつ移動させており、いわば一次避難所から二次避難所への移行段階です。
それまで避難所として使用されていた11校の公立学校は現在残り2校が避難所として使用されるのみとなっていますが、移動先の住居は、調理設備や浴室等の設備がなく、このまま冬を迎えるのはたいへんです。
当事業で目標としている1200世帯は、アルビル県の難民キャンプの外にいる避難世帯数の約12%をカバーできる見込みです。
一方、ヤジディ教徒が避難しているコミュニティがドホーク県にあり、こちらも避難生活は3か月目に突入し、いつ家に戻れるのかわからない先の見えない暮らしに疲労の表情が日々濃くなってきています。8月に着の身着のままの状態で避難してきた避難民は越冬準備が一切整っていません。危険地帯にあるため、日本人職員は入れませんが、クルド人スタッフと現地援助機関の協力で配布を実施の予定です。
IVYは、東日本大震災やシリア難民に対して越冬支援を行った経験がすでにあるため、各支援団体と連携しつつ国内避難民への支援ニーズの調査・物資の調達から配布といった一連の支援活動を迅速かつ的確・安全に行うことができると考えています。
【活動報告】
以下のリンク先に現地から続々と支援レポートが届いています。ぜひご覧ください。
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現在、イラク国内避難民 緊急募金を募集しています。温かいご支援をよろしくお願いいたします。