教育支援

 


シリアとイラクの子どもたちを学校へ


 

 

2011年3月に起きた反政府デモから拡大したシリアの内戦。クルド自治区

2014年1月以降、イラクまで勢力を広げた武装勢力、イスラム国。

 

これらの紛争により、シリア国外に逃れる難民の数は2018年12月現在でも566万人を越えており、シリアの東隣りにあるイラクにも今なお25万人のシリア難民が避難生活を続けています。

また、イラク国内でもピーク時には340万人を超える人々が避難していましたが、イスラム国掃討作戦が功を奏し、すべての都市や村が解放されて、2018年12月現在、帰還民の数が416万人に達しています。一方で、今なお180万人が避難生活を続けています。

長引く避難生活、かたや帰還してもまだ十分な生活インフラが整っていないため、苦しい生活は続いています。

 

 

*「難民」とは国境を越えて外国に避難する人々のこと、「国内避難民」とは国内で別の地域へ避難する人々のことをさし、使い分けられています。

 

 

教育支援のきっかけ


 

 

IVYは、2013年9月よりジャパン・プラットフォーム(JPF)の一員として、イラク共和国クルド自治区でこれらの方々へさまざまな支援を行ってきました。

 

その中で見えてきたのは、難民・国内避難民となった子どもたちが長期間、学校へ通えないまま放置されている状況でした。

 

たとえば、2014年1月当時、イラク北部のクルド自治区の首府エルビル県には、8万人のシリア難民が避難生活を送っていて、IVYは、その方々の家へ石油ストーブと灯油を届ける支援をしていました。

そこで、スタッフが目にしたのは、寒いので外遊びもできず、一日中テレビを見てすごしている子どもたちの姿でした。

シリア難民の子どもたちの話す言葉は、アラビア語。一方、地元の学校はクルド語で授業が行われていたため、難民の子どもたちが通える学校がなかったのです。

 

 

避難中でも、子どもたちには学校が必要


 

 

空気や食べ物だけでなく、子どもたちには「教育」が必要! 一日も早く!!

そんな思いで、 IVYでは、「シリア難民の子どもたちを学校へ」を合言葉に教育支援を開始しました。

まず、最初のステップは、しばらく学校へ通っていなかった子どもたちが学力を取り戻せるよう、補習校を開校することでした。

教室は夏休みであいている学校の空き校舎を借りました。先生も難民の方から雇いました。スクールバスの支援も行って、遠くに住んでいる子も通えるように配慮しました。

次いで、子どもたちが継続的に勉強できるよう、教育省に陳情したところ、正規の小学校にしてもらうことができたのです。

この学校は、コバニ小学校と名づけられ、2014年9月にエルビル市郊外の女子高校の校舎を間借りして開校し、800人が通いました。

初年度は小学校までしかなかったのですが、卒業生からの要望で翌年度から中学校も追加されて、2017年度からはより広い学校に引っ越しして、現在も教育省のご支援で継続しています。

 

17年度、2つめのシリア難民の学校を開校


 

 

支援前の子どもたちの状況


 

シリアの紛争が始まって6年。帰還の目途が全く立たない中、紛争の影響で、一時は「第二のドバイ」と言われたエルビルの経済も衰退し、それまで臨時雇用で細々と生計を立てていた難民の暮らしを直撃しました。

その結果、家賃が払えなくなった家族は、家賃の安い郊外へ郊外へと引っ越していき、貧しい家の子どもたちはますます学校から遠ざかることとなりました。

教育省の調査で、難民キャンプ以外で暮らしている難民のうち、小学生年齢の子どもは1万人いましたが、うち40%もの子どもが、引っ越し先に学校がない、貧しくて通学費用を工面できない等の理由で、小学校に通えていなかったのです。

エルビル市郊外の、バンスラワ地区に住む子どもたちも同様で、シリア難民のための学校が地区内になく、65%もの子どもたちが小学校に通えていませんでした。

 

ロンデック小学校開校


 

このギャップを埋めるために、1校目のコバニ小学校同様、夏休み期間中、地元の小学校の空き教室を借りて、補習校を開校。

次いで、この小学校の校庭の一角を借りて、プレハブ校舎を建設。この新校舎で2017年10月1日に「ロンデック小学校」が開校され、バンスラワ地区以外にも近隣の地区や村からも生徒が集まり、258人が通えるようになりました。

 

建設された公立小学校の概要


 

・建設地:イラク共和国クルド自治区エルビル県エルビル市バンスラワ地区

・敷地面積:約1575㎡

・床面積:約480㎡

・設備:教室9、職員室3、倉庫3、正門、トイレ男女各8、手洗い場、水タンク、冷水機

・総建設費:1490万7412円(US$1=113円で換算)

・今後の運営・管理:クルド教育省(2018年2月までモニタリングサポートを実施)

 

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(写真:2017年10月1日に開校した小学校。)

 

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(写真:真新しい教室でうれしそうな児童。)