物資支援
ガスコンロセットを配布-物資支援
2019年10月9日、トルコ軍がシリア北部のクルド人の勢力地域に向けて、空爆や砲撃を
開始しました。
攻撃は人々が暮らす家も襲い、命を守るために人々は村を離れるしかありませんでした。シリア
国内の避難民キャンプや、親戚の元へ避難した人々の数は、最大で20万人にも達したのです。
トルコ軍の攻撃から1週間も経たないうちに、隣国イラクにも人々が逃れ始めました。
180人以上が避難したのを機に、多い日で1日1,000人以上が国境を越えてイラクへ逃れて
来ました。
シリアの人々の受け入れ先となったのは。
今回シリアから逃れてきた人々を受け入れたキャンプは、
”バルダラシュキャンプ、ガウィランキャンプ”と言います。
ガスコンロセットを配布したバルダラシュ
キャンプ・ガウィランキャンプは、イラク共和国ニナワ県アクレ郡にあり、クルド自治区ドホーク県の管理下に置かれています。
最初にバルダラシュキャンプが開設し、14日からシリア難民の受け入れを開始しましたが、
わずか2週間で定員の12,000人に達してしまったため、ガウィランキャンプも開設されることになりました。
10月末、IVYイラク事務所スタッフがバルダラシュキャンプを訪れ、人々に話を聞くと、
お母さんたちから聞こえてきたのは「温かいご飯を作るためのガスコンロが欲しい」という
声だったのです。
冷え込みが一層厳しくなるイラク北部の冬、、、
温かい食事を食べさせてあげたい、そんなお母さんたちの気持ちに応えるために、
ガスコンロを配ることにしたのです。
待ちに待った配布の日!!
混乱がないよう、ブロック毎に集まってもらい、受付をしました。
「受け取り場所はこちらですよー」と呼びかけるIVYスタッフ。配布予定のコンロとボンベが次々に並べられていきます。
ガスコンロはすっかり台所の主役に!
配布後、ガスコンロがどのように使われているか、
何か不具合はないか聞き取りをするためにキャンプを訪れました。
バルダラシュキャンプの台所では、
調理がしやすいようガスコンロが石のブロックや棚の上に設置され、コンロはすっかり台所の主役になっていました。
ガウィランキャンプには、まだ各テントに台所がないため、テントの入り口付近に設置されて
いました。
聞き取り調査をしていると、どこからか立ちこめてくる香ばしいクミンの香り。
香りに誘われてあるテントを訪れると、お母さんが昼食の支度の真っ最中でした。
「これまではストーブの上で調理していたから、お肉を炒めるのにも時間がかかっていたの。
でも、このガスコンロは火力が強いから調理の時間も短くなったのよ」とのことです。
また、別の家庭に行ってみると、続々と嬉しい声が
聞こえてきました。
「今日は、マクルーバを作るのよ。
コンロが2口あるから、同時に2品作れてとても助かるわ。
ごはんを炊くのも、火加減を調節できるので、おいしくできるようになったわ。」
この鍋でご飯を炊き上げ、鍋をひっくり返せば「マクルーバ」の完成!
その他にも、石油ストーブからガスコンロに変わったことで、日中ストーブを使用する必要が
なくなり、灯油の消費が減った、などの声も聞かれ、配布したコンロは家計の一助となっているようです。
※本事業は、ジャパン・プラットフォームによる資金や皆様のご寄付により実施しています。
(外務省NGO相談員ODA広報)
越冬支援-シリアとイラクの難民に暖かい冬を
IVYは、イラク北部のシリア難民・国内避難民を対象に、厳しい冬の
生活環境を改善するために、2013年より越冬支援を行ってきました。
*「難民」とは国境を越えて外国に避難する人々のこと
「国内避難民」とは国内で別の地域へ避難する人々のことをさし
使い分けられています。
シリア難民の約7割が、月1万円以下で生活しています。
イラクにいるシリア難民は24.6万人。北部のエルビル県だけで12万人の難民が生活していますが、
戦費による財政圧迫、経済の低迷などにより、日雇い仕事も減り、生活は苦しさを増しています。
もう6年以上、避難生活を続けている方もおられます。
エルビル市郊外の貧困地区で暮らす難民の家族は、月収2万8千円のうち1万8千円が家賃に
消え、残った1万円で家計をやりくりしています。しかも冬場は灯油代が月8 千円かかるので、
家賃の滞納、児童労働等が増えるのもこの季節です。
この冬を越すのに不安を抱える人々も多くいます。1人でも多くの人に冬服や灯油を
届けることができるように、ご協力いただけますと幸いです。
イラク国内避難民とシリア難民世帯に冬物衣料などを届けました。
(2017年12月28日~2018年3月31日)
イラク共和国エルビル県の脆弱なシリア難民・ホストコミュニティ世帯及び
ニナワ県ジェダアキャンプ避難民に対し越冬支援を行い、冬に必要な物資の不足を行いました。
405世帯のシリア難民及び45世帯のホストコミュニティ世帯に灯油 160 ドル分(220ℓ)を
配布しました。
また、新規避難民へ株式会社ユニクロさんからの協力で提供された冬物衣料を国内避難民/
15 歳以上の男女各 2,500 人に配布しました。
今回、服を配布した全世帯の約1割にあたる350世帯へ、配布した服の質、数、サイズ、配布
時期、配布方法等について、聞き取り調査を実施しました。回答結果は以下のとおりでした。
■服のサイズについて
今回特に配慮したサイズに配慮し、特大サイズ600枚を買い足した結果、ふつう以上が86%という
好結果でした。ただし、まだ14%が、配布された服が小さかったと答えており、今後さらに特大サイズを
増やす必要があることがわかりました。
■服の品質について
配布された服の品質については、51%が大変良い、良いとの回答でした。
■服の枚数について
数は、92%が大変良い、良いとの回答でした。
家族の人数が5人以上の世帯には3枚、4人以下の世帯には2枚と、家族の人数が多い世帯に1枚
多く配ったことが良かったようです。
■服の配布時期について
いろいろなアクシデントに見舞われ、配布時期が予定より1か月以上遅くなりましたが、
90%が大変良い、良いという回答でした。
■防寒の有効性について
今回のコートの配布が66%の方々に、防寒の役に立ったとの回答いただけました。
モスル奪還作戦は2017年7月に勝利宣言がされ、避難されていた方々の帰還も徐々に進んでいます。
しかし、ジェダアキャンプ・シックスの方々が帰還できる日はまだ見えていません。
IVYは引き続きイラクで支援活動を続けます。引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
イラク国内避難民とシリア難民世帯が厳しい冬を越せるように灯油を届けました。
(2016年12月15日~2017年3月31日)
2,808世帯の 国内避難民・シリア難民へ灯油を配布配布しました。
(内訳シリア難民2,440世帯(国内避難民72世帯、ホストコミュニティ296世帯)
また、モスル奪還作戦の影響で新規避難民が増加傾向にあるディバガ・ハザールキャンプへ、
初めての冬を少しでも快適に過ごせるように不足している越冬及び衛生用品を配布しました。
エルビル県ディバガキャンプへ㈱ユニクロ様提供の7,500人分の冬物衣料を配布しました。
そして、ニナワ県ハザールキャンプの5,000世帯へ冬物衣料、紙おむつ、衛生用品を
配布しました。
内訳として、冬物衣料:男女各5,000枚、紙おむつ3,649人、女性衛生用品10,000人を
届けました。
日本からの輸送費は、皆さまからのご寄付と、国連機関UNHCRのご協力で、
カバーすることができました。ご支援いただいた皆さま、ありがとうございます。
ぐるぐる巻きにされた段ボール20箱に約2500着が詰まっています!
スタッフにより袋詰めされ配布を待つ冬物衣料
配布場所に貼られたバナー。
アラビア語で「日本のみなさんからイラクのみなさんへ」と書かれています。
シリア難民、イラク国内避難民に過去最大規模の方に生活支援物資を届けました。
(2015年10月1日~2016年3月31日)
イラクの 28.5万人の国内避難民が避難しているエルビル県で、特に支援が遅れている12地区
約1300世帯(7,800人)に対して、灯油、越冬用品等の生活物資を配布しました。
灯油1,313世帯、冬服1,253世帯、紙おむつ410人、生理用品1,356人に対し配布を行いました。
また、11.2万人のシリア難民が避難しているエルビル県で、難民キャンプの外で避難生活を
送る1,300世帯(7,800人)に対し、越冬に必要不可欠な灯油及び生活支援物資を配布しました。
灯油1,846世帯(11,076人)、冬服168世帯、紙おむつ乳幼児730人、生理用品3,692人に配布
を行いました。
延べ33,668人過去最大規模の越冬支援を行うことができました。
イラク国内避難民に石油ストーブや防寒着を配布しました。
(2014年11月1日~2015年1月31日)
10 月の段階において、13,000 世帯、78,000 人のイラク国内避難民がアルビル県で避難生活を
送っていました。これらの避難民のうち、2,767 世帯 16,600 人は 2つの難民キャンプに入って
いましたが、イラクでも少数派宗教のキリスト教徒、ムスリムカーカイーエ等 10,233世帯
61,400 人は、教会、学校、空き建造物等に宗派ごとに暮らしており、キャンプに比べ、
キャンプ外の難民は越冬物資が圧倒的に不足している状態でした。
そこで、キャンプ外の避難民へ越冬支援物資を配布することとし、支援対象地域は独自の調査で
国際機関の支援からもれている地域を選定するなど、より脆弱で支援が届いていない人々に支援
を行うように努めました。
アルビル市周辺の1366世帯への40ℓの灯油配布、避難所200軒への湯沸しボイラーの設置、
113世帯への毛布、899世帯への冬物衣料の配布、ヤジディ教徒798世帯への越冬物資配布
(ストーブ・毛布・冬物衣料)を行いました。
また、大使館からの要請に基づき、バハルカキャンプ599世帯、ハルシャムキャンプ300世帯へ
冬物衣料8000枚の配布も行いました。
秋に調査した時点では電気の供給量が少なかったこともあり電気ストーブの要望が
多かったですが、冬が到来すると停電が続くため、石油ストーブと灯油の需要が
高まりました。
しかし、灯油を配布する団体が少なく、灯油の配布に関しては特に感謝されました。
(写真:灯油を受け取ったシリア難民の親子)
シリア難民に石油ストーブが防寒着を配布し始めました。
(2013年9月30日~2014年2月1日)
2013年10月、クルド系シリア難民22万人が避難しているクルド人自治区の首府アルビル市に
事務所を開設し、11月からアルビル市内10地区で調査を行い、特に脆弱な層が多い3地区を
対象地区に選び348世帯に石油ストーブ、灯油40リットル、防寒着の越冬物資を配布しました。
「自分たちで灯油を買い足すお金がないので、なるべく節約して使用している」
という家庭や、「赤ちゃんがいるためほぼ1日中使用している」という家庭など、
様々ですが、配布したストーブがシリア難民の方々に
きちんと温もりを届けられました。
また、ストーブの上で栗が焼かれていたり、紅茶を飲むためののやかんを置いたりと、
いろいろな使い方がされています。